アパート融資について

4月24日、日銀は、九州地方や中国地方など一部の地域で地方銀行による不動産業向けの融資が過剰になっているとして、市場の動向を十分に把握して融資の審査を行うべきだと警鐘を鳴らす内容の報告書をまとめました。
不動産業者向けという言い方だが、その増加分の大部分はアパート融資である。
日銀によると2016年12月末のアパート融資残高は前年同月比4.9%増の22兆1668億円。09年の統計開始以来、過去最高を更新した。

マイナス金利政策で余剰資金を国債に振り向けていた銀行は、その道も塞がれ、資金を持て余すようになる。
何とか融資を増やしたいが、景気は今一つだし、優良な融資先を見いだす目利き能力もない地銀などは、従来型の不動産担保融資に頼らざるを得ない。
そこで「マイナス金利で今が借り時です。」というセールストークでアパート融資にお客を誘導する。
どうせ家を建てるなら金利が安い今が有利だと考えて、お客はその誘いに乗る。

もう一つが相続税対策。
2015年から相続税の基礎控除が下がり、これまでほとんど相続税のことを心配しなくてよかった人も相続税を払わなければならなくなった。
土地を持っているお客に「アパート経営をすれば相続税が減りますよ。」と言えば、多くのお客が関心を示すであろう。

しかし、この話には落とし穴がある。
それは、提示されたシミュレーションが、現在の貸家の賃料が今後長期間にわたって継続することを前提としていることだ。
もちろん、これには市場の需要要因、供給要因双方から見て無理がある。

日本は、長期的な人口減少時代に入っている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、地域別にみると2015年にはすでに15県で減少しているが、20年までには34道県、25年までに42道府県で、25年以降は沖縄以外はすべて減少するという予想だ。

今後は、アパート経営は逆風の時代が到来する。

アパート融資がリーマンショックみたいなことにならないように希望する。

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